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医療機関によっては、「クレームは余り寄せられない」「意見箱にはほとんど投書がない」などの状況を理由に、自院には取り立てて問題がないと捉えている場合も見受けられます。しかし、どんな医療機関であってもクレームを完全になくすことはできません。 従って、認識できたクレームが少ないからといって、良いサービスを提供できていると安心せずに、個々のクレームに適切な対応をとらなければ、高い患者満足度を得ることにはつながりません。クレームは「あって当然」という認識を前提とし、クレーム対応を適切に進めるポイントは、迅速な初期対応と再発を防止する改善にあります。
クレームは、医療機関が気づいていなかった自院の不備を指摘してもらい、医療サービスの質を向上させる機会を与えてくれるきっかけだととらえることが基本です。 同時に、迅速で納得できる結果報告は、クレーム申出者の満足度を高めることでよりよい信頼関係を築くことができるツールになる、という理解の下で、申出者と対応することが重要です。
■医療機関におけるクレーム
医療機関に寄せられるクレームは下記の4つに大きく分類できます。 |
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医師に対するもの |
A |
看護師・コメディカルに対するもの |
B |
受付・会計等事務職員に対するもの |
C |
施設・設備や大群に対するもの |
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医療機関におけるクレームの大部分は職員である個人に対するクレームです。しかし、これをいわゆる個人攻撃などとはとらえず、そうしたクレームの存在を認識し、原因を調査することによって、対象となった職員個人における患者満足度向上へのツールにするという意識のもと、インシデントの前段階として位置づけ、適切な対応をすることが必要です。
■クレーム対応の進め方
クレーム対応は、初期対応と院内対応の2種類に分けられ、初期対応ではクレーム申出に対する謝辞および「不快」にさせたことに対する謝罪、問題解決とその報告を約束します。 この初期対応での謝罪はあくまでもクレームを言わせてしまったことに対するもので、クレーム内容そのものに対してではないことに注意しなければなりません。 例えば、企業や医療をめぐる不祥事・事故が相次ぐなか、それぞれの組織幹部が「(このような事態が起きたことは)遺憾に思う」という発言を呈することがありますが、これに類するものです。 その後、情報の収集、改善方法の検討・実施・周知徹底を行い、患者に報告、結果の満足度を確認します。 クレームをゼロにすることは不可能ですが、これを自院が良く変わるための貴重な意見であると理解したうえで、医療機関全体で情報を共有することにより、同種のクレームを事前に回避できるようになります。 |
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