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|  | 2010年度診療報酬改定は、中央社会保険医療協議会(中医協)が2010年2月12日に長妻昭厚生労働大臣に答申し、主要項目についての方向性が固まりました。今次改定では、本体部分のうち「医科」の改定率を1.74%引き上げ、これに伴う財源として約4800億円の予算の投入、また重点課題に位置付けた「救急、産科、小児、外科などの医療の再建」と「病院勤務医の負担軽減」に優先的に配分することが既に明示されていました。 
 2010年度診療報酬改定率 〜10年ぶりのネットプラス改定
 
 
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| 全体改訂率 + 0.19% |  
|  | ● | 診療報酬改定(本体)改定率   +1.55% |  
|  |  |  | 医科  +1.74% (入院:+3.03% 、外来:+0.31% 歯科  +2.09%
 調剤  +0.52%
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|  | ● | 薬価改定等 改定率    ▲1.36% |  
|  |  |  | 薬価改定     ▲1.23% (薬価ベース: ▲5.75%) 材料価格改定 
 ▲0.13%
 |  |  (1)初診料・再診料〜外来管理加算「5分ルール」の撤廃
 今次改定の最大の焦点であった再診料は、診療所(71点)を2点引き下げる一方、200床未満の病院(60点)を9点引き上げることで、69点に統一されました。また、再診料に対する「外来管理加算(52点)」は、2008年度改定で導入された「5分ルール」を廃止する代わりに、いわゆる"お薬外来"に対する評価を回避するため、診察に基づく医学的判断などの要件を加えることとしました。
 
 ◆外来管理加算と再診料の見直し
 
 
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| ● | 外来管理加算 |  
|  | @ | 時間的概念要件(いわゆる5分ルール)の廃止 |  
|  | A | 「懇切丁寧な説明に対する評価」の明確化の観点から医学的判断等の要件追加 |  
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| ● | 再診料(診療所) |  
|  | 再診料(診療所) <現行>71点 | ⇒ 
 <改定後> 再診料 69点 |  
|  | 再診料(病 
 院) <現行>60点 |  |  中医協における議論では、再診料の統一と外来管理加算の「5分ルール」の取り扱いをめぐって診療側と支払側が激しく対立し、中立の公益側による裁定に持ち込まれた結果、診療所を2点引き下げる公益案が示されたという経緯がありました。
 一方で、診療所に対する新たな評価として、「地域医療貢献加算(3点)」と「明細書発行体制等加算(1点)」が新設されています。
 
 (2)一般病棟入院基本料
 一般病棟の15:1入院基本料(1日:954点)は20点引き下げた(934点)一方で、一般病棟での入院早期加算を428点から22点引き上げることとしました(450点:14日以内)。なお、2008年度に新設された「準7:1入院基本料」を廃止しました。
 また、一般病棟や結核・精神病棟のうち7:1と10:1の看護配置を採用している病棟で、「72時間ルール」だけを満たせない場合に算定できる「7:1」「10:1」各特別入院基本料を新設し、公平性を保つために一定の条件(*下記)を付したうえで、所定の入院基本料の80%の算定を3か月間のみ認める措置をとりました。看護職員の夜勤問題に悩みを抱えるケースは少なくなく、この評価により救済される病院も多くなると予想されます。
 
 
 
| (*)@算定期間中も引き続き看護師の確保に努力し、その旨を毎月地方厚生局などに報告している  A最後に算定してから1年以内は当該基本料を算定できない  等
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 このほか、現在は7:1入院基本料に導入している入院患者の「看護必要度・重症度」の概念を10:1入院基本料にも拡大し、全入院患者の状態を継続的に測定・評価している場合、新たに「一般病棟看護必要度評価加算(1日:5点)」を算定できることとしました。
 
 ◆一般病棟看護必要度評価加算で用いる「評価票」
 
| 【一般病棟用の重症度・看護必要度に係る評価票】
 
 
| A:モニタリング及び処置等 |  | B:患者の状況等 |  
| 1 創傷処置 |  | 1 寝返り |  
| 2 血圧測定 |  | 2 起き上がり |  
| 3 時間尿測定 |  | 3 座位保持 |  
| 4 呼吸ケア |  | 4 移乗 |  
| 5 点滴ライン同時3本以上 |  | 5 口腔清潔 |  
| 6 心電図モニター |  | 6 食事摂取 |  
| 7 シリンジポンプ使用 |  | 7 衣服着脱 |  
| 8 輸血や血液製剤の使用 |  |  |  
| 9 専門的な治療・処置 |  |  |  |  (3)療養病棟入院基本料における評価区分の見直しと適正化
 療養病棟入院基本料は、入院患者の医療ニーズの高さ(医療区分)や日常生活動作の状況(ADL区分)などに応じてA〜Eの5パターン(750〜1,709点)を設定している現在の形から、看護配置と重症度に応じた2段階に変更されます。
 具体的には、@看護職員および看護補助者が「20対1」配置以上、A医療区分2または3の患者が全体の8割以上の2点を満たす場合に算定できる「療養病棟入院基本料1」と、@看護職員および看護補助者が「25対1」配置以上の「療養病棟入院基本料2」に再編し、それぞれについて9区分の点数を設定しました。
 
 ◆療養病棟入院基本料の再編成 〜評価区分の見直しと適正化
 
 【現 行】
 算定要件 25:1配置(医療区分2・3が8割以上の場合は20:1配置が必要)
 
|  | 医療区分1 | 医療区分2 | 医療区分3 |  
| ADL区分3 | 885 | 1,320 | 1,709 
(最高額) |  
| ADL区分2 | 750(最低額) |  
| ADL区分1 | 1,198 |  
  
 【改定後】
 <療養病棟入院基本料1>  算定要件 20:1配置(医療区分2・3が8割以上)
 
|  | 医療区分1 | 医療区分2 | 医療区分3 |  
| ADL区分3 | 934 | 1,369 | 1,758 (最高額) |  
| ADL区分2 | 887 | 1,342 | 1,705 |  
| ADL区分1 | 785 | 1,191 | 1,424 |  <療養病棟入院基本料2>  算定要件 25:1配置
 
|  | 医療区分1 | 医療区分2 | 医療区分3 |  
| ADL区分3 | 871 | 1,306 | 1,695 |  
| ADL区分2 | 824 | 1,279 | 1,642 |  
| ADL区分1 | 722(最低額) | 1,128 | 1,361 |  また、現在は記録だけが求められている患者の状態像などについては、これらに関するデータの提出を要件に組み込むほか、急性期病院の一般病床、介護老人保健施設や自宅などから患者を受け入れた場合に算定できる「救急・在宅等支援療養病床初期加算(150点:14日以内)」が新設されます。
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